「はじまりのはじまりは終わりでした」

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その日、あたしは死のうと思っていた。 別に元々死にたい願望があったとか、世界に絶望したとか、親に恵まれなかったとか、いじめられていたからとか、そんな大層な理由なんてひとつもなくて。 でもふと気づいてしまって。 ――あれ、あたし、いるのか? いるのかっていうのは、居るのかでも入るのかでもなくて、要るのか。 これが俗に言うモラトリアムだったり、思春期特有のアイデンティティの不確立だったりするのかーなんて思いながら、学校の外を眺めていた。 先生が数式を書き込む黒板の音が規則的なリズムを刻んでいる。机に目を戻せば、もはや呪いの類にしか見えない数字の羅列。こんなものがあたしの人生を大きく左右するなんて、やっぱり呪いの言葉に違いない。
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