「はじまりのはじまりは終わりでした」

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話を戻そう。死ぬ、とひと言でいうのは簡単だ。方法も山のようにある。 ただひとつ問題を挙げるとすれば、『誰にも迷惑をかけずに死ぬ』方法が限りなくゼロに近いということ。 飛び降りれば下を歩いていた誰かに激突するかもしれない。電車に飛び込めばそれを目撃した多くの人が不快感で眠れなくなるかもしれない。 首をつればその部屋は自殺者が出た部屋として永遠に借り手がいなくなるかもしれない。手首を切れば発見するのは間違いなく家族だろうし、ショックで道連れにもしかねない。 無意識にシャーペンをかちりかちりと押す。 生まれるときには問答無用で世界に産み落とすくせに、処理しようと思ったら誰かに迷惑をかけずにはいられないなんて。 世の仕組みというのはなんと理不尽に出来ていることだろう。勝手に造ったなら勝手に壊れてもいいはずなのに。 そんなことをいうとまるで私が中二病みたいなので、声を大にして言ったりはしないが。
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