プロローグ

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プロローグ

価値観、というものは人それぞれによって異なる。 彼にとっては些末なものでも、彼女にとっては喉から手が出るほど魅力的なものかもしれない。逆に彼女にとって塵芥とそう変わりないゴミが、彼にとってはダイヤモンド以上の値打ちを誇る代物かもしれない。 「そんなこと改めて言われなくてもわかっている」だって?まぁそういうな、話はこれからだ。 価値観の話は何もモノに限ったことではない。形をなさないものにも、もれなく当てはまる。そうだろう? この世に存在するありとあらゆる事象は、それぞれの人間たちにとってそれぞれの価値をもたらす。 それは命も例外ではない。 少しはニュアンスとして伝わっただろうか?そう、いままさに君が投げ出そうとしているその命。君にとっては不必要なそれが、誰かにとっては必要であるかもしれない。 誰にとって必要かって? ――そう、例えば私にとって、ね。
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