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将門の館内は御予約なされた御客様の宿泊準備の為、以前にも増して忙しくなりました。
この様な場合、千客万来で喜ぶべき事の筈なのに。何故でしょう?
胸騒ぎがするので御座います。
それもこれも将門を照らす赤い月の所為(せい)なのでしょうが……。
「女将」
ロビーの硝子張りの窓から赤い月を眺める私に、若女将の山本菜槻(やまもとなつき)さんが声を掛けて来ました。
「どうしました?山本若女将」
彼女は将門ホテルスタッフから、山本の『山』と菜槻の『菜』と繋げて『山菜』の愛称で呼ばれてますが、それは職場以外の場所でして貰いたいものです。
仕事は仕事。馴れ合いでは無いのですから。仕事の同僚にはきちんと敬意を払い、さん付けをする等しなくてはなりません。
従って私は、山本若女将と呼ぶ様にしています。
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