1・宿泊客リスト

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 相手は依頼件数一位の名探偵だ。  職種が職種故、犯罪者に命を狙われる事だってあるだろう。世間の目に触れない様に変装しているのかも知れない。  一時は、警察の作り上げた虚構の創作かも知れないと懸念していたが。  推理作家の本市平次が彼女達の存在を書籍にて証明した事が後々、明らかになった。  それが『夜瀬雲英楽(よるせきらら)』シリーズの推理小説なのだが。  本市氏は作中の主人公である夜瀬雲英楽のモデルに、綺羅七夜を選んだと著作のはしがきに記述している。 ――この作品に多大なインスピレーションを与えてくれた、綺羅七夜氏と松江なお氏に感謝の意を表して。 この文面が示唆する様に、綺羅七夜と松江なおは確かに実在する。 実在する筈が無い人物をモデルに等出来るだろうか?  ――否。  綺羅七夜と松江なおが実在していなければ、本市平次がモデルにする事は愚か。感謝の意を表したはしがきを記述する事は出来ないのだから。  本市平次の作中では、夜瀬雲英楽(よるせきらら)は容姿や性格、嗜好に至るまで実に細やかに描写されている。  これは本市平次と、綺羅七夜、松江なおの両者共に面識がある事を物語っている。
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