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何だったのだろうか。
走馬灯のような、記憶の旅。
今何時だろう?
首を捻ろうとも上手く動かない。
そこで気付いた。
あぁ、僕は昨日から集中治療室にいるんだったっけ。
酸素マスクから息をするが、息苦しい。
腕に巻かれた管は数を増やし、僕を取り押さえる蛇に見えた。
母さん、心配してるかな?
楓、泣いてないかな?
彼女は泣き虫だから。
瞳から零れるのは、涙。
多分、僕はもう死んでしまう。
身体がそう告げている。
死ぬ恐怖より、楓が悲しむ不安が僕を泣かせた。
あんまり泣くと身体に悪い。
子供の事もあるんだし、負担はかけたくない。
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