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そのまま君はまた僕の前から消えた。 淡いピンクの紙袋から覗くマドレーヌの包装紙。 テレビでやっている所の製品だ。 とても評判が良かったと思った。 それを近くに手繰り寄せる。 甘い物に目がない僕は、迷わずマドレーヌを頂いた。 「うまっ」 確かに美味しかった覚えがある。 好みの甘さで、ふんわりと香るオレンジの香りが至福感を誘う。 この時ばかりは、あぁ、生きていて良かった。 と思えた。 多分その幸せで、その日一日をいつもより楽しく過ごせたのだと思う。 なんせ、母や担当医が驚いた程だから。 .
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