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それからというもの、君は良く僕の病室へ来た。 その度に違うお菓子を持って。 「こんにちは。また来ちゃいました」 「こんにちは」 いつしか会話をするのも慣れて、母のみたいに普通に話せるようになった。 そして君の名前を知った。 「楓って言うんです」 「へぇ、秋生まれ?」 「いえ。冬生まれですけど、父が秋生まれだって思って楓で決めてたらしいです」 「へぇ」 その日の楓が持って来てくれたお菓子は、確かカップケーキだったっけ。 チョコチップがほろ苦で、ちょっと大人な味だった。 「風汰さんは?秋生まれですか?」 「そうだよ。良く分かったね」 「名前に風が入ってるから、なんとなくです」 「多分意味はないと思うけどね」 楓もカップケーキを食べて、苦いですね。 と苦笑いした。 .
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