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「軽い自己紹介も終えましたし、早速本題に入ろう。君の戦いを見させて貰いました。
なるほど、君は余程対人戦を経験しているらしい。近、中距離戦がとても上手い。
無属性の特性とも言える魔力の調和をうまく戦闘に組み込んでますね。クリアスカリバーを持つクレンをあそこまで圧倒したのには流石に驚かされました」
「えっと、ありがとうございます?」
何だ?話って言うのは単にオレを褒め称えてくれるだけなのか?この人はあんまり信用出来ないが……。何を企んでいる?
確かにあの戦いはオレが勝った。だが、1人の力じゃない。今人差し指に嵌っていて沈黙を保つオレの武器、ステイルが頑張ってくれたお陰である。2人で掴んだ勝利なのだ。どちらかが欠けては得られなかったものだ。
そんなこと言うと、このお調子者の事だ。うっせぇ、とか照れ隠しの文句を垂れるだろう。
『……』
今は珍しく無口で、おまけに異様な雰囲気を醸し出している。さっきリリス達と話していた時は横から茶々を入れてきた癖に。
と、思ったらどうもオレを通して何かを見ているらしい。感じることが出来る。ステイルはさっきからある一点を見続けている。
そこは指。オレと同じ右手人差し指に黄色の宝石が埋め込まれた指輪が嵌められていた。間違いない、スペルリングだ。
『へぇ。なるほどなるほど。
おい隼斗、こいつらはそこそこ信用できるぜ』
何かを納得したのか今まで異様な雰囲気を醸し出していたステイルは大人しくなった。スペルチェーン同士何か通じるものがあったのだろうか。
ステイルは嘘を付かない。そのせいでオレが死んだらこいつはただの魔力を貯蔵した指輪になってしまう。そんなつまらない事をする奴じゃ無い。
「おっと、どうやらこちらの信用は得られた様だ。感謝しますよ、ファリオン」
オレが何かを疑っていたのを知っていたのか、そんな安堵の言葉を漏らした。ファリオンとは彼のスペルリングの名前だろう。
ステイルは信用できると言った。取り敢えず彼を変に疑うのはやめよう。だがまだオレは若干混乱している。
「えっと、さっきからずっと気になっているんですけど。要件は何ですか?こいつから信用できると言われたのはいいけど、何を信用すればいいのやら…」
堪え性が無いのだろうか。オレは彼の目的を急いだ。こういうのを生き急いでいるというのかな。
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