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「これは失礼。どうも私は本題から逸らすのが得意な様だ。
では、香川君。君に問いかけます。
君は今どの段階ですか?」
「段階?」
初めて聞く言葉だ。無属性魔法には様々な段階があるという事だろう。だが、残念ながらオレはそれを知らない。
ここで知っておくべきだろう。いや、知らなければならない。
今まで無属性がどんなものなのかよく分からずに使っていた。結果、オレは壁にぶつかってばかりだ。
無属性の魔法を無効化する。と、他の属性にとっては天敵である特性に今まで救われてきた。でもそれじゃあダメだ。オレ自身よくこの属性を理解しないと、この先必ず困る事が出てくる。無属性同士の戦いもきっとあるだろう。
「知らない、と。それならばこれから私が言う中で自身に合っている物を答えてください。
1つ、魔力の調和が使える。
2つ、魔力の圧縮ができる。
3つ、魔力の利用が出来る。
4つ、魔力の封印が出来る。
5つ、魔力の保存が出来る。
6つ、魔力を2つ調和出来る。
7つ、魔脈を破壊出来る。
8つ、ユニゾンスペルを使える。
そして9つ、三重魔法【トリプルスペル】が使える」
すらすらと、彼は驚くべき事を並べた。
ユニゾンスペル……オレでも使えるのか?
使えるのならば戦闘の際に切れるカードが比べ物にならない位増える。それほどまでにユニゾンスペルは強力だ。
それにその先の領域……トリプルスペル。
正直頭が追いついていなかった。
「8つ目と9つ目以外は出来ます。ただ5つ目は武器の力を借りて、ですが」
頭の中が一杯になりながらもそう答えると、跡部さんは感心した様に声を上げた。
「それは素晴らしい!すでに第3段階にまで足を踏み入れていますね。いや、想像以上です。せいぜい4つ目までかと思いましたが、君を見くびっていた様だ。魔力の保存も正確なやり方をやっている辺り、君の武器も優秀ですね」
彼はまるで自分の事の様に顔を綻ばせて喜んでいた。嫌味な感じは全くなく、不思議とこちらも嬉しくなる。ステイルも誇らしげに、ふんと鼻を鳴らした。
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