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そうして数十秒が経過しようとしていた時、とうとうシビレを切らした大吾がオレの胸ぐらをつかむ。
その瞬間、景色が一変しさっきいた植え込み前まで戻ってきていた。転移を使いやがった。
「お前はヴァカですかっ!?おまっ、アレ見て何するか分かんねーとか男じゃねえよ!」
「待て待て待て!ワケが分かんないんだけど!?」
口早で説明する大吾の話を纏めるとこうだ。
クリームを指で取って食べろ、と。また大吾らしくワケの分からない話を盛り込んできたものだ。
「しゃーねーな。俺様が手本を見せてやるよ」
そう言って大吾はオレを残して転移し店内に帰っていった。転移を入店のための使う奴とか初めて見た。
遠目でさっき座っていた席を見ると今まさに大吾がリリスの頬からクリームを指で取り、口に運ぼうとしているところだった。
「このアホブタぁぁぁああああ!!」
「ブッヒィィィィィィィィィイイイイイイ!」
リリスの悲鳴に近い叫びと大吾の絶叫が店の外まで響き渡った。
その日、大吾は背中と心に大きなヤケドを負ったのであった。
ーーーー2日後
「それじゃー今から魔法理論学のテスト開始な」
我がクラスの担任教師早川先生の開始の合図でみんなが一斉に問題用紙を裏返して解答を始めた。
カカカカカと解答を書き込む音が教室内を支配する。オレもその音の構成員である。
ほぼ何も書けなかった前回のテストとは大違いだ。問題対策はルイスとリリスのお陰でバッチリ出来ているし、一昨日帰った後中間テストの内容も見直した。視点を変えてみた事で今まで理解できなかった所がそれなりには納得できたのが大きい。
テスト最初の教科であるの魔法理論学でいいスタートを切れたため、残りのテストはこれと言って大きな問題もなく最終日の魔法戦闘学まで終えた。
今はテスト終わりのホームルームの時間だ。テスト期間中ゲームのイベントをしこたまやり込んだ早川先生はかなりご機嫌だ。
「テストお疲れさん。残す行事は1年の終業式だな。ああ、言い忘れてたけど今回と前回のテストの平均が400ない奴は留年だから気をつけろよ」
先に言えよ!!!?と立ち上がりそうになったがうちのクラスは誰も気に留めた様子はない。魔法理論学オワタとかアホ顏で言ってた大吾が心配である。
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