Side story 4 学年末テスト

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「きゅ、940点!?おまえ……マジかよ」 現実離れした点数に驚き声が裏返ってしまった。今オレはおかしな顔をしていることだろう。 「フォッフォッフォ、驚いて声も出ないのか?ミスター32位よ」 オレの成績表をヒラヒラとさせながら余裕の態度でドヤ顔を決めてくる大吾に言い返せないのが辛い。 でも不思議だ。初日の魔法理論学でオワタとかボヤいてた大吾はどこへ行ったんだ? その話を聞いてみると以外な答えが返ってきた。 「あぁアレね。言うのも恥ずかしいんだけど」 顔を赤らめて頬を掻く大吾。キモっと思ってしまったのは秘密だ。 「要は思い出して自己嫌悪してたんだよ。昔の厨二な俺を。大学の講義そっちのけでオリジナル魔法を記したノートを書き続けた日々を!!」 それは痛い。あ、大吾の実家は日本でも有名な製薬会社を経営している一族で、家の方針で大吾は小学生の頃から単身海外に渡り、海外の大学を飛び級で卒業して日本に帰ってきたらしい。空港から実家に帰る途中拉致されて魔法学園に連れて来られたようだ。 「だってさ!だってさ!魔法理論学なんてこれだけ魔力を込めたら魔法が変化しました!ドヤって感じの学問じゃん。いや、アレは学問と呼んでいいものなのか……?」 「今まで魔法理論を積み重ねてきた魔法使いに謝れ」 大吾曰く魔法理論学はそんなものらしい。オレも同意見だけど。固定観念は良くないよな。 「じゃ、学年2位の大吾様は下々に挨拶に行ってやるから。さらばだ32位!」 と、言いたい放題やりたい放題だった大吾は転移を使い次の人の部屋に転移していった。別に32位って悪かねえだろ。 それから1時間後、寮の外で青い花火が打ち上がった。大吾の悲鳴とともに。 なお、1位はルイスで941点だった。 ルイスの方が一枚上手だったようだ。
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