短編

人生設計

「希望結婚年齢は25歳希望死亡年齢は80歳でお願いします」

「オプションはどうされますか?」

「どんなものがあるんですか？」

「退職年齢や会社を立ちあげるとうまくいくというようなオプションもあります」

「じゃあその会社を立ちあげるやつもお願いします」

「かしこまりました。変更はもうできませんがよろしいですね？」

「はい」

「合計でこのお値段となります」

その値段を見て田中は驚きを隠せなかった。

だが、これですべてがうまくいくと考えると決して高くはないといえた。

支払いが済むと、その男は帰っていった。

4年後、あの後田中の立ち上げた会社は順風満帆でどんどん成長していた。

見合い結婚もしたが、その女は美人と言えるほど美しくは無かった。

少し不満を感じながらも、結婚できない人生を歩んだかもしれないと思うと、人生設計には感謝していた。

それから数十年後、田中は50歳になっていた。

その年齢までうまくいっていたかというと、そうではなく最近の5年で嘘のように破綻していた。

田中の会社が大会社と合併するとすぐにリストラされた。

会社はうまく行っているが、田中は無職となってしまった。

その挙句女房が不倫していたのが発覚し離婚した。

今は退職金でな んとか食いつないでいく有様である。

そして、最近なにか調子か悪いと感じていたので、病院へ向かう事にした。