男と女と男と女と男

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『唯一生き残るのは、変化できるものである』―――チャールズ・ダーウィン。 地球が回り始めてかれこれ四十七億年。まだ生物と呼んでいいかさえ怪しいアメーバ擬きの有機物から、地表上の進化は始まった。 そこから五回に及ぶ大量絶滅に遭遇しても尚、逞しくそして色鮮やかに。海中では飽き足らず、陸をも闊歩し、根を生やし、翼を持つまでになった。 さて、本題に移ろう。ここにホモ・サピエンスという生物がいる。体毛や運動性能の退化の代わりに、著しい知能の発達を手にした今現在唯一かつ奇特な哺乳類だ。……そのくせ退化したものを鍛え直してオリンピックやらをやったりして、全く何がしたかったのか気になるところだが、まぁ当人の勝手というものだろう。 そして黒人白人黄色人種、ネイティブアメリカンにアボリジニやエスキモーと数多くの人種や族の中には時々、『天才』という者が生まれる。 彼らはいわゆる『一般人』には持ち得ない思考回路や感覚、能力を有しており。時代や地域によって、英雄視され魔女化され羨望され嫉妬されてきた。 そして大衆化した人類は『天才(かれら)』を―――普通ではない者(てんさい)を―――深層心理で嫌悪した。彼らも彼らで、それをよしとした。 かくして、妙に馴れ合った普通と異端は、長らく表面上には決して表れない歪な感情を胸に抱えながら日常を歩んできたのだ。 しかし、運命は流転する。 世代は更新し、新たな体系が全てを再び狂わせる。 一つ目の物語は特異点。 さぁ、始めようか。
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