男と女と男と女と男

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「わ、私……」 里璃はその危険な両手の人差し指を絡ませながら、爆弾級の発言を吐いた。 「恋しちゃった、みたいですぅ…」 「フィーリングヒットっ!!」 予想通り過ぎる爆弾に、黎奈の絶叫が町中にこだまする。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 全く分からない。 我輩は『思考欄外』である。名前は露川慧哉だ。どこで生まれたかは大体検討はついているが今一番の問題は、 「き、気持ち、悪い…」 あれから30分ほど。 食べ過ぎて吐きそうという贅沢な悩みに襲われ、結果としてなぜか激昂する黎奈と別れてから、帰路につく途中で力尽き近くにあったベンチで休んでいる慧哉である。 「二人分のセットを単体に喰わせるとかあのミサイル(胸が)なに考えとんだ…。こちとら元々少食だってのに…」 慧哉は典型的なインドア系男子だ。詳細を言うならば、現在17歳にして逆上がりはできず、50m走の記録は限りなく九秒に近い八秒。水泳は沈むことは無いがそこから三次元的に1cmも動けない運動性能だ。 「弟の『惑星掴み』に俺の全運動性能吸い取られたよな絶対……おぇっぷ」 溜め息をつこうとしたが息と共になんか出そうなので慌てて止める。 弥高は弥高でいつの間にか居なくなっていたので助けを求めることもできない。携帯電話も役に立たないだろう。弥高は元々『機械』自体を嫌う。何故なら極端に扱えないからである。詳細を言うならば、電子レンジを使い冷凍食品を爆発させ、パソコンを適当に弄ってウイルスをばらまきまくり、携帯電話で会話をすれば相手の電話が使い物にならなくなる。 「両極端過ぎるだろう俺達…」 だからこそ二人揃えば敵無しなんだが、と慧哉は付け加える。
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