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弥高の話によると、六割くらいの力なら、縦横高さが一㎝の立方体にその力の全てを叩きつけることが可能なのだという。
「(…そんなことしたら…ただでさえ六割なんて…えっと、ユーラシア大陸の半分叩き割るパワーじゃん。それをそんな極小の物体に叩きつけたら…)」
「オレは身体系一辺倒だけどさー、やっぱ技能も多少は勉強した方がいいのかねー?そうなるとやっぱり将延さんが必要に……兄貴?」
改めて『惑星掴み』の恐ろしさを感じて戦慄している兄の顔を、弟は不審に覗き込む。そこで我に返った慧哉は強引に話題を変える。
「あ、ああ…。なんでも。それより、なんだってお前あんなとこ歩いてたんだ?時間的にもうすっかり帰宅していたことだと思っていたんだが」
それを聞くと弥高は途端に苦虫を噛み潰したような顔になる。なにかトラブルにでも巻き込まれたのか、と慧哉は適当に予想を立てる。
「…『序列』狙いに応対してた」
その返答に慧哉は目を丸くさせる。
「へぇ。珍しいじゃん。わざわざお前になんて」
本来、『序列』を狙って闘いを挑んでくる挑戦者(バカ)は案外結構いる。ランクが上であればあるほど名声もあがるし、特典も豪華なものに変わる。そしてそれはランクが十位以内の『序列』所持者になると莫大なものになる。
『序列』所持者になるのは簡単だ。所持者を倒せばその『序列』はそのままその者に移籍される。
つまりは一攫千金目的で『序列』所持者に挑戦してくる者もいるわけだが、
「……第、七位が、ね。」
第七位?と慧哉は首をかしげる。
「今は……なんとか、り、り…?名前は思い出せねーが能力は『特定座標』だったか?」
「うん。そぉ。ちなみに、五十嵐、里璃ね」
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