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「…ってこの雑誌書いてる」
「あぁそぉ」
「言われ放題だよね」
「あぁ」
「これはやっぱりどーにかしないと我々の威厳っつーもんが「おい」……ん?なーに。弥高(やたか)」
弥高と呼ばれた少年は動かしていたペンを止めて、正面に座っているマシンガントークの少年を見据える。
「今なにしてるか知ってる?」
青筋をなるべく浮き出させないように眉をピクピク微動させながらあくまで、穏やかに問いかける。
「は?俺の記憶が正しければ今は二時限目の数学の中期考査中」
「うん。そぉだよ。合ってる。だったらなぁーんで慧哉(けいや)クンは後ろを向いてべらべら喋ってんのかな?」
だって、と目の前の少年は紙をピラリと弥高の前に突き出し、『俺もう全部解き終わったし』と呟く。それを聞いた瞬間、弥高は顔を勢いよくあげた。
「なんで開始二十分でもう全部出来たんだよ!頭が良いのをわざわざ誇らしげに見せつけんじゃねぇ!!しかも先生が居眠りしてるからって話し掛けてくんな!こちとらガチで成績ヤベェの!」
そもそも!と弥高はあくまで静かなまま叫び続ける。
「お前二年生だろぉ!?ここ!一年教室!!分かる?お前は本来ここにいるべきじゃないんだよ!!なんで下に降りてきてんだ!?……ほら見ろよ皆も頷いてんじゃん!」
慧哉が周りを見渡す。なるほど確かに何人か首を上下させている。しかしあれは肯定のそれというよりかは、
「寝ちゃってうつらうつらしてるだけじゃね?」
「マジで!?まだ開始二十分ぽっちだって!もう寝てんの?早すぎるだろぉが!おいこらテメェはゲーム取り出すんじゃねぇ!!なんで身体検査あったのに持ってこれてんだよ!?いいからしまえオラァ!!」
―――――
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