新と旧の佇まい

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「なんだと!?テメェ婦女子のことを気にしないってのか!!男としてサイテーだぞ?」 「腐女子?」 「うんそりゃまぁね色々腐ってるけども。その発音じゃねえよ。そっちじゃねえよ」 「第一位のことだよ」 「分かってるよ。つかその流れだと分かりづらいよ。里璃が第一位っぽいよ」 「里璃ちゃんが第一位なのか?……初耳だ」 「違ぇよ。アイツは第七位だよ。オレは『っぽく聞こえる』って言っただけだよ。アイツが第一位なんて別の意味で恐ろしいよ」 「分かった分かった。さて、おふざけはこのくらいにして、と」 いきなり真面目になる慧哉に弥高は苦虫を噛み潰したような顔になる。 「…殆どお前の独壇場だったけどな」 まーまー、と渋谷の横槍が入る。そこで弥高は彼に話の矛先を向ける。 「そぉだよ。ごんぞー長生きだろ。なんか知ってるんじゃねぇのか?」 「『序列』の最高位者ですか…」 渋谷はハンドルを緩やかに切りながら片手で自身の口髭を弄りながら思案する――ちなみに慧哉は外を見ながら『あ、ちょうちょ…』と言っている。聞かなかったフリをしよう、と弥高はスルーした――。 「私も長い間この町におりますが、『姿が認知されていない』という第一位は初めてですな。代々第一位は正なれ負なれ、注目されておりました。…ところが今の代は全く『知られていない』という訳でしょう?…それは少し不自然に感じますな」 正なれ負なれ。それは数多くの人間を見てきたからこそ簡単に言える台詞なのだろう。この町は成人より下の人間は大なり小なり『天賦才覚』を得ている。成人より、とは、なぜか『天賦才覚』は25歳を過ぎると急激に劣化していき、普通の人間となる。
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