新と旧の佇まい

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内部崩壊。そういう話なら弥高も聞いたことがある。 「確か…その時の『序列』達は史上最大の力だったんだっけ。『全員が第一位級の力を持つ』という幻の時代」 誰もいないのではなく、誰もかも強すぎるからこその競合。 「お互いがお互いを潰しあって、最終的には自然消滅していったんだっけか」 その十人は『劣悪な十傑(テン・イビル)』と呼ばれ、今でも相和町の語り草となっている。全員今でも何処かで生きているらしいが、自らの罪を見つめ、ひっそりと全てを白紙に戻してしまっている、と聞く。見つけるのは至難の技であろう。 「話してはみたいな。そのやつらと」 「どーしよーもなく悪い奴等だったんだろ?目があった瞬間殺されるんじゃね?」 慧哉が窓から目を離し、口を挟む。 「そりゃねぇだろ。生きていたとしても今はジジババだって。能力の欠片も残ってねぇって」 「…そーなのかなー。『強大すぎる力を持つ能力者は25歳を過ぎてもそれを失わない』っつー説もあるが」 その時、車に影が落ちた。近くに何か日光を遮るものが現れたからだ。そして、車はそのままゆっくりと停止した。 自宅に着いたのだ。 「まぁ、勉強する傍ら、ごんぞーに話でも聞こうじゃないか」 ドアを開けつつ、弥高が気軽に呟いた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 毎回。 毎回帰宅のたびに慧哉は思う。なぜこんな馬鹿げた家を建てたのだろう、と。
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