新と旧の佇まい

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「今日は早かったのね~」 「あぁ、今テスト中だから午前中に終わるんだよ」 「あらあら~そうなの~頑張ってちょうだい!お母さん応援してるわね~」 あくまで元気な姿勢を崩さない我が母に、兄弟は少なからず感心する。毎日毎日どこからあのテンションに使われるエネルギーが供給されるのか全く謎である。 (この人研究したら永久機関出来るんじゃね?) (この人調べたら人間離れしたタイムでフルマラソン走れるんじゃね?) そこで考えが違ってくるのがインドア系とアウトドア系の違いであるわけだが。 寧架はそのまま踊り始めそうなテンションで会話を始める。二人は少なからずこのテンションを見たことがある。いや。正確に言うと、この人のテンションは常時ハイな状態だが、僅かな上下でこの二人には大体目の前の女性が言おうとしていることが分かってしまう。 今の状態なら、 『俺に話しかけたら料理関係!』 『オレに話しかけたらゲーム関係!』 瞬時に二人はアイコンタクトをとる。 「そうっ!実はね、慧哉ちゃんにちょっと用があるのよ~」 「…つまり、料理?」 少しげんなりして慧哉は先手を打つ。その隣では弥高が小さくガッツポーズをしている。この人に絡まれると長く時間が掛かってしまうからだ。 「そーそー!新しい料理が出来たから毒味をしてほしくって!」 「そこは味見って言おうよ!なんでわざわざ物騒にするんだよ!?嫌だよ母さんが作るの見た目が綺麗なクセにドレッドノート級に不味…分かった!分かったから襟首掴まないで母さん自分で歩くから笑顔で襟首掴むな、あーーー…」
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