新と旧の佇まい

27/30
前へ
/994ページ
次へ
「生き残り……だと……?」 口から勝手に言葉が漏れる。あまりの驚愕の事態に思考に空白が生まれる。そのまま弥高は思ったことを口に出していく。 「け、けどよぉ…ごんぞーは自分で言ったじゃねぇか…。『『劣悪な十傑』たちは内輪揉めで自然消滅した』って…」 「…それは組織が『消滅』しただけです。当時の『序列』の一部は生き残り、現在も生存しています」 「マジかよ…。何人今生きてんだ?」 「今は…四人生きております。反逆を起こした者は何年も前に亡くなりましたので、最後まで抵抗した者が現在生き延びております」 その一人が渋谷というわけなのだろう。反逆を起こしたのは確か『劣悪な十傑』の最高位だと言っていた。それが亡くなったのは惜しいことであるが。 (それにしても…『劣悪な十傑』と、きましたか…) 弥高は口の中でだけ口笛を吹く。話には聞いていたが、それは半ば都市伝説のようなものだった。それが目の前にいたとは。 しかし。 「なんで、んなことをオレに話すんだ?今頃になって」 「弥高様は『敵』を見たことがありますか」 「………?」 弥高は最初、渋谷に強引に話題を変えられたのかと思った。 「敵?あー…まぁ一応『序列』だからな。襲ってくる輩は結構いる」 「そういう種類の『敵』ではございません」 渋谷は力なく首を振る。 「私が申し上げているのは、もっと上位の意味―――」 『敵』という言葉の、本来の意味とは。 「――――『侵略者』としての、『敵』でございます」
/994ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加