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「生き残り……だと……?」
口から勝手に言葉が漏れる。あまりの驚愕の事態に思考に空白が生まれる。そのまま弥高は思ったことを口に出していく。
「け、けどよぉ…ごんぞーは自分で言ったじゃねぇか…。『『劣悪な十傑』たちは内輪揉めで自然消滅した』って…」
「…それは組織が『消滅』しただけです。当時の『序列』の一部は生き残り、現在も生存しています」
「マジかよ…。何人今生きてんだ?」
「今は…四人生きております。反逆を起こした者は何年も前に亡くなりましたので、最後まで抵抗した者が現在生き延びております」
その一人が渋谷というわけなのだろう。反逆を起こしたのは確か『劣悪な十傑』の最高位だと言っていた。それが亡くなったのは惜しいことであるが。
(それにしても…『劣悪な十傑』と、きましたか…)
弥高は口の中でだけ口笛を吹く。話には聞いていたが、それは半ば都市伝説のようなものだった。それが目の前にいたとは。
しかし。
「なんで、んなことをオレに話すんだ?今頃になって」
「弥高様は『敵』を見たことがありますか」
「………?」
弥高は最初、渋谷に強引に話題を変えられたのかと思った。
「敵?あー…まぁ一応『序列』だからな。襲ってくる輩は結構いる」
「そういう種類の『敵』ではございません」
渋谷は力なく首を振る。
「私が申し上げているのは、もっと上位の意味―――」
『敵』という言葉の、本来の意味とは。
「――――『侵略者』としての、『敵』でございます」
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