69人が本棚に入れています
本棚に追加
「現在。秘密裏に処理されようとはしていますが、我が町は攻撃を受けています」
「は?え?攻撃?敵?」
状況の進行が掴めていない弥高を無視し、渋谷は話し続ける。
(…取り敢えずは耳に入れとけっつぅことか)
弥高が混乱する頭を必死に整理している間にも、渋谷は話を続けていく。
「…弥高様が気づいておられるかは分かりませんが、この町でなにかが起こっています。目に見える形では、能力者が不審者に襲撃される事件、目に見えない形では、なんらかの気、と申しましょうか…オーラと申しましょうか、そのようなものが相和町全体に圧迫をしかけているようになっております」
「…セキュリティでも破れそうになってんのか?……そういえば巷で噂になってたな。『ランクの上下に関係無く能力者がボコボコにされている』って」
「気づいておられる人はごく少数でしょう。私は昔から勘がいいので。そういう意味では確証はございませんが」
渋谷は我慢できないようにため息を漏らす。よほど頭を痛めている問題なのかもしれない。
「でも…こういうことは慧哉に相談した方がいいんじゃねぇの?」
「そうしたかったのですが…奥さまに引っ張られていきましたから。先に弥高様にお教えしようと思いまして」
「成る程」
慧哉は『天賦才覚』の中の脳関係の能力では、それの集大成のようなものだ。本気を出せば策士どころではないだろう。もっとも、そういう場面になると精神的にダメになってしまうのが欠点か。
最初のコメントを投稿しよう!