恐怖の余波

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弥高は『惑星掴み』という強大な能力を持つ序列保持者だ。単純な人間の運動性能のみなら、能力者のなかではトップに君臨している。 しかし。いや、だからこそと言うべきか。露川弥高は知能指数が人と比べると僅かに低い。要するにやや単純なのである。余程限られた状況でしか物事を考えることができない。例えるならば、完成させかけたパズルの最後のピースをはめる作業しか出来ない。 だが、しかし。 露川弥高にとってのピースとはなにか。 第六位にとっての最後のピースとはなにか。 それは、戦闘。 (言霊か?いや、それだと『生物の機能を最大限にまで強化したもの』という定義をもつ『天賦才覚』には反する。と、なるとやはり微粒物質の類か。…人間には出来ないがフェロモンというものもある。他の個体に著しく影響を及ぼすといわれる化学物質だ) 恐ろしい勢いで思考は深まっていく。最後のピースがはまったとき、弥高は本当の意味での『第六位』として全力で相手と戦うことができる。 『惑星掴み(アースシェイカー)』の所以はそこにある。 相手が大きければ大きいほど。強ければ強いほど。莫大な力で叩き伏せる。 例え神話に登場する、レヴィアタンのような怪物であろうと。 例え。 惑星であろうと。 その能力に支えられた絶対的な自信が、弥高の顔面に笑みを作り出す。 「……間違っているとは思うが、アンタの『天賦才覚』を予想してみよぉじゃ ぇか。……『フェロモンを自在に操る』という能力。違うか?」
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