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初恋はまだ・・・ということになっている。 それはトキメク男の子に出会っていないから。 それと・・・、いつもドキドキしたのは女の子に対してだったから。 小学生のとき、担任の先生がすごく好きだった。 お母さんへの『好き』とは違うけど、母より五歳若かった先生がたまらなく好きで、大人の女性の魅力と感じていた。 中学生のとき、風紀委員の先輩をいつも目で追っていた。 後ろにひとまとめにしているだけの黒髪、エンジ色の眼鏡、教科書でいっぱいに膨らんだ鞄、目立たないはずの先輩を、わたしにはすぐにわかるくらい見つけられた。 彼女が卒業してしまうと、似たような後輩の子があらわれて、また私は彼女を目で追うようになっていた。黒い縁の眼鏡の奥に子犬のような潤んだ瞳で見られると、ドキドキした。 私はそのとき初めて、(私はすこし他の人とは感覚が違っているのだろうか)と疑いを感じた。 ただ・・・、まだ確信ではなかったと思う。 たまたま、私のまわりにはトキメク男の子があらわれなかっただけだと、素敵な男性に出会っていないのだと。 だから、受験のときに高偏差値の女子校に合格しながらも、共学の公立高校を選んだのだ。 初恋を求めて・・・。
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