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「返さなくていいよ。
その金で、陽奈ちゃんを買ったんだから。」
「…千里。
芹奈のこと、信じてくれてありがとう…
初めて逢った時、私を助けてくれて、ありがとう…」
やっと言葉に出来た本当のキモチ。
“ありがとう”の言葉をこんなに心から言えたのは
初めてかもしれない…
「陽奈ちゃん…」
「本当は、もっと早く言わなきゃいけなかったのに…
言えなかったの。」
「じゃ、俺も。」
「えっ？」
「俺と出逢ってくれて…
全部話してくれて、ありがとう。」
「…っ！」
私は一瞬、頭が混乱した。
だって、お礼を言わなきゃいけない事はたくさんたくさんあるけど
千里が私に“ありがとう”なんて言うこと、１つもないから。
「…千里。ありがとう…」
気付かないうちに、私の頬を暖かい涙がそっと伝った…
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