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しかし、小山はいつも着用している白衣ではなく、黒いスーツを身にまとい、いつもつけていた牛乳瓶の底のようなメガネも外している。
「こ、小山くん、無事だったのか。よし、早く逃げるぞ。」
いつもとは違う小山の姿に戸惑いながらも、小西は一緒に逃げようと小山の手をつかむ。
「それはちょっと難しいですね。」
小山は低い声でそう言うと、小西の手を振りほどく。
上着から一丁の拳銃を取り出し、銃口を小西に向ける。
「な、何のつもりだ。」
「依頼の都合上、先生には死んでもらわないといけないんですよ。」
小山がゆっくりと拳銃の撃鉄を指で引き起こす。
「い、依頼?」
「そう、依頼ですよ。先生を殺したうえで、先生の開発した『cube』を手に入れるというね。」
そう言って、小山はためらうことなく拳銃の引き金を引いた。
そして拳銃の発砲音とともに、小西の体は糸の切れたマリオネットのように地面に崩れ落ちる。
小山は拳銃を上着にしまい、小西が死んでいることを確認するとUSBを回収して、出口から研究所の外に出て行った。
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