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残暑厳しい9月、長い上り坂を額に汗をかきながら、歩いている一人の青年がいた。 青年の名は影山昇(カゲヤマ ノボル)。 黒髪で短髪、両肩には竹刀の入った袋と防具の入った袋をそれぞれかけている。 部活である剣道部の練習を終えて、ようやく帰宅中というわけだ。 学校を出て、すぐ目の前にある長い上り坂を汗をかきながら通過すると、右側に大きな商店街がある。 そして、その商店街をぬけると、いよいよ自宅が近くなってくるのだが、その商店街の入口であるひとつの看板が昇の目に入ってきた。 『本日9月14日は創業10周年記念セール開催中!  ○○魚店』 「そうか、一樹が行方不明になってからもう一年たつのか……」 フーッと息をため息をはく昇。 肩を落としてうつむいている姿から考えると、落ち込んでいるのだろう。 しかし、昇はすぐに顔をあげ、商店街の様々な店で夕食の食材を買い集めると、家へと歩き始めた。
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