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「相変わらずボロい教室だよねぇ…」
僕は自分の教室に向かう前に去年お世話になった2ーFの教室に足を運んでいた。
ひび割れや落書きの目立つ壁、割れた窓、足の折れている卓袱台に座布団。間違いない、Fクラスだ。
外から教室の中を覗いていると、中にいた知り合いの子が僕に気づいてこっちの方へやって来た。
「アキヒサ!ドウシテココにイルんだい?」
聞き覚えのある片言の日本語。この子はリンネ=クライン君だ。
「あ!ワカッたヨ!アキヒサ、リュウネンしたカラもうイチドニネンセイをヤルんだネ!ヨロシク!アキヒサ!」
酷い言われようだ。ちゃんと進級はしているというのに。
「違うよ、リンネ君。去年お世話になった教室を見ておこうかと思ってね」
「フーン、そうナンダ。デモ、ココにイテいいノ?モウスグHRがハジまるヨ?」
慌てて時計を確認する。ヤバイ、早く教室に向かわないと。
「リンネ君!ありがとう、じゃあね!」
駆け足でその場を立ち去る。途中でリンネ君の「またアトデネ」という声が聞こえた。
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