最後の一年間

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 三年生になり、一週間が経った。授業も再開されて徐々に忙しくなる毎日。 「つ、疲れたー」私はいすに座りながらそう叫んだ。隣ではおかしそうに笑っている唯ちゃんがいた。私の肩をぽんと叩いてにっこり微笑んだ。 「お疲れ様」 電車が来るまであと一時間以上あるなぁ。図書館でも行こうかな?でも、歩くの嫌だし。そんなことを考えていると春ちゃんがうれしそうに私に話しかけた。 「ねえ、今日時間ある?」 「ん、あるよ?どうしたの?」すると意外な提案をされた。 「学校の近くに最近おいしいって評判のカフェがあるんだ。行かない?」私は唯ちゃんのほうにそっと目を逸らす。問題は花穂が行きたいかどうか。 「唯ちゃんはどうする?」唯ちゃんはにっこり微笑みながらうなずいた。 「行きたい」あとは、花穂か...。私は意を決して誘ってみると意外に行きたいと答えた。さっそく帰る準備をして帰りに寄り道していくことにした。  学校の校門を出て北に少し歩いていくと小さな喫茶店が開かれていた。ちょっとわくわくしながらそのお店の中に入った。中は落ち着いた店内で、音楽はジャズピアノが流れていてとても心地いい。私たちは窓際の席に座り、メニュー表を見た。店員さんを呼んで飲み物とケーキを注文した。すぐに店員さんが持ってきてくれた。
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