最後の一年間

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 話してはいなかったけど、うちのお母さんは何の仕事をしているか知らないが東京のほうに仕事をしに出かけている。お父さんの顔は知らない。私がお母さんのおなかの中にいるときにお父さんは交通事故で亡くなったそうだ。だから、お母さんが私たち二人の面倒を見ていてくれる。  このハイテンションな茶髪のミディアムでくるんとした癖毛が特徴の私のお姉ちゃんの千乃。仕事は普通に近くのデパートで店員として働いている。歳は今年で23歳。ちゃっかり彼氏もいる。 「今日、私も遊びに行くから」だからハイテンションなのか。うれしそうにご飯を食べている私の隣で服を持ってきて着替えていた。 「どっちのほうが似合うかな?」 「どっちも似合うよ」 「えー」さっさと決めてよ。と心の中で思った。ご飯を食べ終わった私も準備をすることに。  自分の部屋に戻り、クローゼットを開ける。上着とズボンは運動するからジャージでいいか。靴も運動靴で。 アイロンにスイッチを入れて、その間にくしとゴムとシュシュを用意した。今回のシュシュはリボンがついている青いものだ。どきどきしながら温まったアイロンを髪にじっくり当てていく。
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