最後の一年間

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 とんとんとノックの音がした。千乃が部屋の中に入ってきた。 「もうすぐいくね」と言って中に入ってきた千乃が驚いた顔をしてこちらを見た。私も驚いた。女の子って化粧でごまかせるんだと本気で思い、いいそうになった。 「なに?」笑いをこらえて私は千乃に訊ねた。すると千乃はにやにやしながら私に言った。 「最近さ、薫おしゃれしてきたよね?前はどんな服でもよかったのに自分で買いに行くし。もしかして好きな人でもできた?」てんぱって私は机の上においていたワックスを床に落としてしまった。さらに千乃はにやにやした。私は顔が赤くなりながらもそっぽを向いた。 千乃は楽しそうに大声で笑い始めた。 「本当に分かりやすいよね?今日はお目当ての好きな人でもくるの?」 「そんなわけないだろ?友達と遊ぶんだから」次の瞬間、千乃は玄関へと走っていく。 「ごめん、また帰ってきてから話しを聞くね」 「いってらっしゃい」私はきっと満面の笑みを浮かべていたに違いない。  アイロンをあて終えて、髪をワックスにならしていく。次にポニーにして、シュシュでくくる。完成!私は元気に家を出た。
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