最後の一年間

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 駅へ行くとまだ花穂は来ていなかった。私はベンチでぽつりと待った。しばらくして花穂がやってきた。 「おはよう、遅れてごめん」 「いいよ」私と花穂は定期券を駅員さんに見せて、電車に乗り込んだ。 いきなり花穂が爆笑しはじめた。あまりにいきなりだったので驚いてしまった。 「ついに頭がおかしくなったか」 「お前じゃあるまいし」それ、私はいつも頭がおかしいって言っているのか!悪かったな。 「いや、朝から薫の姉さんの笑い声が聞こえて。えらいまたテンションが高かったなぁって」私は苦笑いをしながら答えた。 「まあ、今日は彼氏と遊ぶって喜んでいて」 「やっぱり」私たちはお互いの顔を見合わせて笑った。  花穂は少しだけ暗い表情をした。あまりに一瞬のことで私は心に引っかかってしまった。 「薫は彼氏いるの?」私は笑って答えた。 「まさか、できるわけないじゃん」私がそういうとなぜかほっとした表情を見せた。え?なんでそんな表情をするの?胸の奥がチクリと痛んだ。すぐに私は自分に言い聞かせる。”期待してはいけない” 強く自分に言い聞かせた。
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