最後の一年間

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 ふわりと桜の花が舞い散るこの春の季節。天気のいい今日は花見日和。私は空に向かってうーんと背伸びをした。ぽかぽかな春の昼間はどうしても眠たくなってしまう。あくびを思わずしてしまった。隣からくすくすと笑い声がした。私は隣の子の背中を軽く殴った。 「何がおかしいの?花穂」花穂は長い髪を風になびかせながら笑顔で答えた。 「いや、あくびをした後に涙出る癖直ってないんだなって思って」私は花穂に小さなため息をした。 「直らないのは仕方ないって。てか、爪長いほうが理解できない」私がそういうと花穂は自分の爪を見た。そしてにやりと笑った。 「今日は風紀検査があるから切ってきた。どや!」とどや顔をしながら私に手を見せた。私は何もつっこまずにかばんを持って再び歩き出した。早歩きで後ろから花穂が来る。 「何かつっこめよ!薫」
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