最後の一年間

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 私の背後でおとなしくなっている花穂を放置して、私はわくわくしながら唯ちゃんと春ちゃんにこそっと話した。 「花穂ってさ、今と違って純粋で面白かったよ」 「悪かったな、今は真っ黒で」後ろからのツッコミを華麗にスルーして話を続けた。 「小学生頃だったんだけど、虹が出てきたときに虹は橋で上っていけるとか本気で思っていたりだろか」 「やめろー!」あ、怒った。思いっきり回し蹴りを食らってしまった。二人の笑い声が公園に広がった。  結局、邪魔されてあまり話すことができなかったけど、案外盛り上がって楽しく遊ぶことができた。気がつけばもう夕方で帰る時間だった。 「今日は楽しかった」 「またね」私は手を振って別れた。  駅に行くまでの道のりは夕日で照らされていてとても綺麗だった。とことことゆっくりと私と花穂は歩いていた。 「なんで別れるとき、”ばいばい”とか”さよなら”って言わないの?」本当に細かいところに気がつくよね...。私は少しため息をついて立ち止まった。 「なんか寂しいじゃん。それがいやなだけ」 「そっか」まだ納得していない顔をしていた。本当はもう会えないんじゃないのかと思ってしまうから。それが嫌で、また会えると私自身に思わせたい。それだけなんだ。夕日は”あのとき”のように綺麗に紅く染まっていた。あと何回キミと夕日を見ることができるのかな?寂しく感じる想いを胸に抱いて私は前に歩き出した。
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