最後の一年間

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 今年のクラスは...。本教棟の三階にある教室に張られている紙を見ながら確認する。 「「また一緒か!」」思わず人の目も気にせず叫んでしまった。しかも、お互い息ぴったり。 「「はもるな!」」もう嫌だ、これ。すると二人の笑い声がした。おそるおそる二人でそちらを見る。  髪の短いかわいらしい天然な友達こと唯ちゃん。高校一年生のときに仲良くなり現在に至る。三年生で同じクラスになれて少しうれしかった。そして、もう一人は髪を二つにくくっている春ちゃん。 「相変わらず仲良しなんだね」 「まあ...」と若干嫌そうにこちらを見ながら答える花穂ちゃん。いいですよ、仲良しじゃないです。とりあえず、始業式のある体育館までこのメンバーで行くことに。  ゆっくりと階段を下りながら話しを続ける。 「今年の担任、また熱血先生みたいだよ」 「マジか」とがっかりしているのは私と花穂ちゃん。去年も同じ担任で、名前は尾藤先生。性格はいまどき珍しい熱い先生。簡単なイメージとしてかの有名なテニス選手みたいな? しかし、意外に生徒からの人気は高い。私と花穂ちゃんは除いて。だから、唯ちゃんも春ちゃんもけっこううれしそうだ。始業式早々帰りたいと心の中で強く思った。 「帰りたい」あ、花穂ちゃんぼそっと本音を言った。私は何も言わずに蹴ってみた。すると足を引っ掛けられ、階段を転げ落ちていく。面白いくらいに転がっている。いや、そうじゃなくて!
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