最後の一年間

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 受身を取ったので体に傷はなかった。後ろでわたわたしている唯ちゃんの声がした。 「さすがに危ないんじゃ...」しれっと花穂は答える。 「大丈夫、あんなんじゃ怪我しないから」と親指を立ててこちらを見てにっこり笑った。何か言い返そうとすると三人の後ろから爆笑しながら歩いてくる先生を見かけた。もしや、あの若いかっこうをしてジャージを着ているのは尾藤先生! 「相変わらずドジなんだな、薫さんは」いや、違います。全力で心の中でつっこみを入れる。あごを手で触りながら尾藤先生はさらに話す。 「柔道部に入ったらその特技を活かせるかもしれないな」 「つっこみどころが違います。その前に部活には入りません」すぐに私はつっこみを入れた。 すると笑いをこらえながら花穂は余計なことを言い始めた。 「先生、薫の特技はつっこみです」だから、違うって。先生も笑いながら謝った。 「それはすまないな」そしてそのまま職員室に入って行った。というか、今から始業式ですよね?早く着替えないと間に合わない気が...。 ふと隣を見ると冷たい笑顔の花穂さんが...。私はごくりとつばを飲み込む。 「三倍返しって怖いですね」 「だろ?」あいつには勝てない。やはり花穂さんは私の天敵のようだった。
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