最後の一年間

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 教室はけっこうがやがやと賑やかだった。しかし、尾藤先生が入ってきた瞬間にすぐに静まり返った。その光景を見て思わず笑ってしまった。確か去年馬鹿騒ぎしていて初日から教卓を蹴ってへこましたんだよなぁ。そりゃ、嫌でも言うこと聞きますわ。尾藤先生は教室を目で見渡して、満足そうにうなずいた。 大きな声でいきなり自己紹介をし始めた。 「初めまして、今日からこの6組のクラスを担当する担任の尾藤です。去年からこっちの学校に転勤してきて、知っている奴は知っているか。最後の一年、お互いにいい思い出が残せるように楽しもうな。担当教科は体育だ」先生が話し終えるとどこからともなく拍手が起こった。尾藤先生は照れくさそうに微笑んだ。  尾藤先生はそれから簡単にこれからのことを話して、そしてある紙を配り始めた。その紙をよく見ると自己紹介の紙だった。 「残りの時間にその紙を書いて今日中に提出。もちろん、私語はオッケーだ」そういうとみんな話しをし始めた。私はとりあえずこの紙の空欄に書いていくことに。 えっと、名前は薫。誕生日は12月で血液型はB型。得意な科目は英語で苦手な科目は日本史。色々書いていって最後までかけないものがあった。 「...」得意なことってなにんだけどなぁ。下手だけど独学でピアノは簡単な楽譜なら弾ける。それを書くことにした。  ひょっこり横から私の用紙を見る花穂。じっと見ながら一言。 「そういえば左利きだったな」 「そこ!」用紙を見ていたよね?なんでいきなりそれ?その前に...。 「何年一緒にいると思っているの?」照れ笑いをする花穂。かわいいから許してあげることに。
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