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とある世界のとある王国、とある魔女の城の前。
シンデレラはそこに立っていた。見上げる先は魔女の城。後ろには、見るも無惨な魔物共の死骸。
「オォーウ、シンデレィラァ! 助けにきてくれたのですネ?」
天高くそびえ立つ魔女の城の中でも一番高い塔のてっぺんから、金髪マッシュルーム頭で鼻の高い王子が、いかにもな口調で歓声をあげた。
「お黙り! この雄豚!! 気安く私にその薄汚い声を聞かせるんじゃないよ!」
今の言葉を発したのは、シンデレラである。いや、マジで。一方、魔女の方はと言うと、
「き、来たわねシンデレラ・・・! 王子様には指一本触れさせないんだから!」
「ハァ、ハァ、シンデレィラ・・・ハァ、ハァ」
「ふふふ、賎しい雄豚だね。そんなに踏んで欲しいのかい? この、私以外に誰も履けない、16.5センチのガラスのハイヒールで、そんなに踏んで欲しいのかぁ~い?」
「オォウ! シンデレィラァァァァァァァァァ!!!」
「だ、だめだめだめぇ~! 王子様は私が絶対に守るんだから!」
どうやら、王子を帰すつもりは無いようである。
すると、シンデレラは懐からリンゴを取り出し、ほくそ笑みながらかじりついた。ドス黒い果汁が滴り落ち、触れた地面を溶かしている。
しかし、シンデレラ本人はまるでなんとも無いかのように、城へと歩を進め始めた。その光景に、魔女は恐怖し、王子はさらに息を荒げた。
しかし、これからシンデレラを待ち受けるのは、幾多の罠、城の迷宮、獰猛なドラゴン。
果たしてシンデレラは王子を救い出すことができるのか!?
彼女の戦いは、まだ始まったばかりである。
~完~
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