第一章

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―――― ――― 最初のジャンプボールを制した西中。 既にゴールへ向けてダッシュしている悠太へ、ポイントガードからの素早いパスが渡る。 ―――先制点、速攻もーらいっ! ニヤリ、不敵な笑いを浮かべ―――、すぐに、ディフェンスが勢いよく追いついてきたのを感じとる。 意外と速い、でも。 ハイスピードのドリブルから急ブレーキ、この動きにディフェンスとの距離が離れる。 「チッ」 敵の舌打ちが聞こえると、思わず悠太は舌なめずりをする。 ―――いいねぇ、その顔。 すぐにディフェンスはシュートを阻止しようとチェックに向かってくる。 後ろからも、動きを止めようと敵が迫っている。 シュートの構えと同時に、ディフェンスが跳ぶ。 ―――甘いよ。 タイミングをずらし、ディフェンスが最高点に達したあとに悠太はフロアを蹴った。 クイックリリース―――ボールが手を離れるまで、ほんの一瞬だった。 「リバン!!」 後から走ってきた敵はシュートチェックには間に合わず、こぼれ球を拾うためゴールを振り向く。 悠太が放ったボールは、ゆっくりと弧を描いてネットに吸い込まれた。
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