第一章

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「ナイッショーッ!悠太!!」 ベンチから雅樹の大声が響く。 西中の応援席は先制点に湧いた。 「ナイスフェイク」 ポイントガードの先輩からのハイタッチ。 「あざっす」 バチン、と手を打ち返して応える。 「さー、ディフェンス!」 キャプテンの声がコートにこだまし、悠太もマークマンを確認すると、腰を下ろして両手を上げた。 * 「おお、男子、盛り上がってんね」 一緒に練習試合に来ている女子部員の2年生は、スコアやタイマーを担当するオフィシャル席から試合を眺めていた。 「佐野・・・11番、2点、と」 スコアブックを付ける友人の手元に少しだけ気を取られた日野 紗耶香は、ハッとして試合に注意を戻した。 紗耶香が任されているタイマーはそれほど難しい仕事ではないが、練習試合とは言えオフィシャル席に座っている以上は、一瞬たりとも試合から目を離してはいけない―――とは、紗耶香の考え方。 「すごいね、2年で1人だけスタメン」 試合を見つめたまま、紗耶香は小さくそう呟いた。
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