55人が本棚に入れています
本棚に追加
男子の試合は82-47で、西中の圧勝で終わった。
隣の友人がつけ終わったスコアシートを覗くとやはり得点王は悠太で、どうしたって彼を尊敬せざるを得ない。
「さすがだね、佐野」
テーブルの上を片付けながら友人が言って、紗耶香は迷わず頷いた。
試合の組み合わせが書かれたタイムテーブルを確認しに行っていた別の部員が戻ってくる。
「次ね、空き時間みたい。他校どうしだし、オフィシャルもないから、ちょっと早いけど先に食べちゃう?」
男女3校での練習試合は、空き時間が長い。
2コート取れる大きな体育館ならまだ良いのだが、今日来ている体育館は1コートしか取れないのだ。
「そうだね、試合直前に食べるのもアレだし」
友人たちが頷き合ってオフィシャルテーブルを後にしていくのを、紗耶香は憂鬱な気持ちで追った。
―――そりゃね、試合に出る人はそうだろうけど。
時刻はまだ11時半。
昼食にするには早かった。
少なくとも試合に出る予定のない紗耶香にとっては、早すぎる時間だった。
最初のコメントを投稿しよう!