第一章

8/17
前へ
/133ページ
次へ
男子の試合は82-47で、西中の圧勝で終わった。 隣の友人がつけ終わったスコアシートを覗くとやはり得点王は悠太で、どうしたって彼を尊敬せざるを得ない。 「さすがだね、佐野」 テーブルの上を片付けながら友人が言って、紗耶香は迷わず頷いた。 試合の組み合わせが書かれたタイムテーブルを確認しに行っていた別の部員が戻ってくる。 「次ね、空き時間みたい。他校どうしだし、オフィシャルもないから、ちょっと早いけど先に食べちゃう?」 男女3校での練習試合は、空き時間が長い。 2コート取れる大きな体育館ならまだ良いのだが、今日来ている体育館は1コートしか取れないのだ。 「そうだね、試合直前に食べるのもアレだし」 友人たちが頷き合ってオフィシャルテーブルを後にしていくのを、紗耶香は憂鬱な気持ちで追った。 ―――そりゃね、試合に出る人はそうだろうけど。 時刻はまだ11時半。 昼食にするには早かった。 少なくとも試合に出る予定のない紗耶香にとっては、早すぎる時間だった。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加