第一章

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スカウティング―――相手チームの試合を見てチームや選手の特徴を把握する。 紗耶香は、悠太の言葉を反芻した。 ―――やっぱり、彼は違う。 上手いのは、元々身体能力が高いからってだけじゃないんだ。 練習以外にも、たくさん努力をしてるんだ―――。 カバンの中からコンビニで買ってきたサンドウィッチを取り出してから、そう言えば彼はお弁当だったな、とふと考えた。 ―――あんなに急いでかきこんで・・・詰まらせなきゃいいけど。 フフッと思い出し笑いをする紗耶香を、隣の友人は訝しげに見つめた。 * 「お前、何がスカウティングだよ。弁当見られたくなくて急いで食ってただけだろ」 女子部の連中がいなくなった途端、雅樹に図星をつかれる。 悠太は早々に弁当箱をしまうと、 「例えあの時はウソでも、今からスカウティングをすれば本当になる!」 と自信満々に答えた。
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