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「お前な、付き合わされる俺らの身になれよ」
純也が顔をしかめたところで、悠太は全く気にしない。
「千里の道も一歩から。スタメンへの道もスカウティングから!」
颯爽と立ち上がり、カッコいいことを言ったつもりでビシッと2人を指さしたが、じとっとした視線が返ってくる。
「お前はもうスタメンじゃねえか!」
雅樹はそう言って勢いよく立ち上がると、悠太の髪をワシャワシャとかき乱して攻撃したが―――
「うっわ!コイツ、汗やべえ!」
すぐに悠太から飛び退き、純也のジャージに手を擦り付ける。
「ゲッ!馬鹿マッキ、俺で拭くな!」
「てめ、俺は一試合分運動してきたんだよ!汗かいて当然だろーがっ!」
「うるせー、んなこと知るか!」
「美しい青春の汗だぞ!汚くねえ!」
「あ、よせジュン!何こすり付けてんだ!」
3人の声が体育館に響き渡った。
そのあまりの騒がしさに、下で審判をしていた顧問が試合を中断して、笛を吹いて注意したのだった。
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