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「ほう、お前はレジで小銭をばらまいたことがないんだな?」
とりあえずごまかすべく、適当な言葉で雅樹を威嚇してみる。
が、雅樹は臆面もなく「ないわけないだろ」と言ってのけた。
「ジュン、俺にはコイツが何語をしゃべっているのか分からないときがある」
「安心しろ、俺もだから」
歩きながら、ついさっき思い出して「また会えないか」と期待していた彼女を、今となっては「頼むからいないで」と願っている自分に気が付いた。
―――クソ、マッキめ、余計なことを思い出させやがって。
レジで小銭をばらまいたときのことを鮮明に思い出す。
あの、目が合った瞬間。
あの一瞬、確かに体温が一気に上昇した。
あれは、何だったのだろう。
初めての経験だった。
思い出した途端にやたらと彼女のことが気になる理由もよく分からない。
確かにキレイな人だったが―――。
「なあ、うちの学校で美人って言ったら誰?」
見たことがないくらいのレベルではないはずだ、もしそうならこの2人だって黙っていないだろう。
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