第一章

15/17
前へ
/133ページ
次へ
純也と雅樹は学校の【イイ女】の名前を次々と挙げていった。 ―――そこに幼馴染の名前が入ってきたときには耳を疑ったが―――言われてみれば確かに、クラスにもバスケ部にも美人と言える女子が何人かいる。 今までに、美人に反応して体温が上がったことなんてあっただろうか。 悠太は自問して、すぐにいいや、と答えを出した。 むしろ、今こうして名前を挙げられなければ、美人だと意識することすらなかった。 「悠太、ついにバスケ馬鹿を卒業して、女に目覚めたのか」 純也の目が光ったのを見て、悠太は舌打ちする。 「ちげーよ」 「悠太、お前・・・男にだけは目覚めるなよ!」 何故か青ざめて言う雅樹を、純也が代わりに蹴っ飛ばしてくれた。 「俺は美人より可愛い系がいい!」 蹴られたことなど気にもせず、雅樹が宣言する。 「ああ、柏木あたりはどっちかって言うと可愛い系かもな」 「柏木ー!!アイツはダメ、真面目すぎ」 ヤダヤダ、と身体をくねらせる雅樹に、お前は選べる立場か、と純也の容赦ない突っ込みが炸裂した。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加