第一章

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同様にその不自然な声に気付いた2人も顔を上げ、真っ先に雅樹が「ああ、朝のおねーさん!」と無遠慮に指をさした。 彼女は気を悪くした様子もなく、 「部活帰り?お疲れ様」 と言って笑った。 性格が悪いようには、とても思えない―――。 店員の客に対する態度としては、イマイチなのかもしれない。 だが、自分たちが中学生と分かっての、親しみを込めた対応だった。 ―――よく、覚えてんな。 日に2回来る客なんて、そう珍しくもないだろう。 彼女は2回目に来る客には、いつもこうも親しげなのだろうか。 それとも・・・自分が小銭をばらまいたから、印象付いたんだろうか。 自分の失態をまたしても意識してしまい、急に恥ずかしくなる。 急激に赤面しそうな予感がして、レジから視線を背けた。 「おねーさん、から揚げ!」 雅樹が真っ直ぐにレジに向かいそう注文する。 彼女はクスクス笑いながら、「また?」と尋ねた。 「今度はチーズ味!」 そのやり取りを背中に聞きながら、なんだ、覚えているのは俺のことだけじゃないんだ、と、落胆している自分に悠太は気付いた。
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