第一章

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季節は春、朝晩はまだ少し肌寒いが、今日は日差しが暖かくてすがすがしい―――はず。 だが、カバンの底に入れた弁当箱のことを思うと、悠太は気が重くなって自然とため息をついた。 待ち合わせ場所のコンビニの駐車場では、先に到着していた雅樹と純也がから揚げをほうばっている。 「おう、遅ぇぞ悠太!」 軽く手をあげてその言葉をかわすと、そのままコンビニの自動ドアをくぐる。 食べ終わったから揚げのゴミを捨てた2人も後からついてきた。 お茶とスポーツドリンクを選んで真っ直ぐレジに向かおうとする悠太に、「あれ」と雅樹が声をあげる。 「お前、弁当買わねえの?」 そう言う雅樹も純也も、既に両手にパンやおにぎりを選んでいた。 「ばばあ、弁当作りやがった」 ふてくされたようにそう言った悠太を、友人は無遠慮に笑う。 「お前の母ちゃん、なんかスゲー豪快だよなあ!」 「まあいいじゃねえか、たまには。お袋の味にかなうモンはねえぞ」 ぽんぽん、と純也が肩を叩いてくるが、悠太は舌打ちしてその手を軽く払いのけた。 笑っている友人たちを放っておいてレジへ向かおうとして、足が止まる。 あまりに大声でのやり取りだったせいか、会話が丸聞こえだったのだろう。 レジの女性が、肩をふるわせて笑いを堪えていた。
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