ハロウィン短編

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 靴もあるし、電気もついている。大丈夫、いる。寒さでこたつむりになったまま出てこないだけかと思い、俺は靴を脱ぎ捨てズケズケと部屋に入った。 「美和、おまえいるなら鍵くらい……」  そこまで言いかけて気付く。コタツの中、体を全て潜り込ませて顔だけひょっこり出した美和の姿に。 「……寝てるしよぉ!」  なんという傍若無人な振る舞いだ。彼氏にプリンを買いに行かせて、このクソ寒い中コンビニを四件もはしごさせといて頼んだ張本人はコタツでぐーすか寝てやがるだと。  俺はフツフツと沸いてきた怒りのまま、美和の首筋に両手を押し付けた。 「ひゃあ! 冷たい!」  可愛らしい叫び声と共に、跳ね起きる美和。 「ほら、おまえが食いたがってたかぼちゃプリン」 「わあありがとう!」  美和は餌を与えられた犬のようにコンビニ袋に飛びつこうとしたが、俺はすぐさま袋を引っ込め阻止。 「何すんのさ!」 「とりっくおあとりーと! お菓子が欲しけりゃイタズラさせろー!」 「それ意味違うから! きゃああああ!」  その日の夜。美和の叫び声がアパート中に響き渡り、翌日近隣の住民から苦情が殺到したのは言うまでもない――。
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