ハロウィン短編

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「どこ見てんのよ。エッチ」 「そ……そんな服着てるからだろ! つかいいだろ別に彼氏なんだし見たって」  慌てて視線を逸らして起き上がると、美和は上目遣いで見上げてくる。そういう時の表情(かお)は、やたら小悪魔っぽい。 「……見るだけでいいの?」 「は?」 「もっといろいろしたいでしょ? かぼちゃプリン買ってきてくれたら、美和がいいことしてあげる。だから、ね?」  頬にキス。唇の柔らかさも反則だ。俺は結局、白旗を上げたのだった。 「あーくそ、最悪! 絶対育て方間違えたよなアイツの!」  美和は俺の彼女であって、娘ではないのだから育て方というのは違う気もするが、甘やかしすぎたのは事実だ。  あのあと結局美和が望むまま、期間限定のかぼちゃプリンを求めて最寄りのコンビニまで赴いたが、なんと売り切れ。仕方がないので他の物で勘弁してもらおうとアイツの携帯に電話したら、とんでもない返答がきた。 『かぼちゃプリンがいいの。他のじゃ嫌。いい? どこのコンビニのでもいいからかぼちゃプリンね。買ってくるまで部屋入れないから』  ガチャリ。プープーと虚しく響き渡る無機質な音。
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