ハロウィン短編

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 切られた。言いたいことだけ言ってアイツ切りやがった。 「だいたい俺の部屋だぞ。なんで美和に占拠されてんだ」  合い鍵を渡したのがそもそもの間違いだったのか。俺が一人暮らしなのをいいことに、我が物顔で上がりこんではちゃっかりくつろいでいることが多い。  そんな彼女のわがままのせいで、かぼちゃプリンを買っていかないと自分んちに入れないとか泣ける。  なぜか今日に限ってどこのコンビニもかぼちゃプリンは売り切れていた。  そういえば今日はハロウィンだっけと、そこでようやく思い当たる。  四件目のコンビニで、俺はようやくかぼちゃプリンを見つけた。しかも最後の一つ。本気で神様からの贈り物かと思った。  俺はそれを握りしめ、足早にアパートへと向かった。 「美和ー! 買ってきたぞかぼちゃプリン! 玄関開けてくれー! 美和ー!」  築何十年かの、年季の入った古びたドアをどんどんと叩いたが、返事がない。 「美和ー! いないのか?」  まさか帰っちまったんじゃないだろうな。せっかくコンビニ巡りして買ってきてやったのに。  俺は寒さでかじかんだ手で、アパートの鍵を取り出してドアを開けた。
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